危ナイ隣人

「茜ちゃん、本当にこんな男でいいの? 私が言うのもなんだけど、なかなかのクズよ?」


「そうですねぇ……。私、ちょっと間違えちゃいましたかね?」


「オイ。拗ねんぞ」



2対1の態勢に不服そうにしながらも、それ以上何も言ってこない。


私はまだしも、京香さんには勝てない様子。ほんと、この2人って姉弟みたいだな。



「でも、よかったわ。きっと圭太も喜んでる」


「どうだかな。会ったら1回殺されるかも」


「否めないわね」



そんなそんな。

お兄ちゃんはそんなことしないよ、大丈夫だよ。



「まぁ、私が改まって言うことでもないと思うんだけど。

幸せになんなさいね、2人で」



そう言った京香さんの顔は、呷られたコーヒーカップに隠されて見えなかった。


それでも、その言葉を受け取った私とナオくんは、お互いに顔を見合わせて静かにはにかみ合う。



幸せだ、と思った。

私達の行く末を見守って、こんなふうに言ってくれる人がいる。


それはとても幸運で、奇跡みたいなこと。

この縁を繋いでくれたお兄ちゃんに、心から感謝したい。



だから私達も、お兄ちゃんの想い、あなたに代わって届けるね。



「今日、京香さんに来ていただいたのには、報告のほかにもう一つ理由があって」



私が前置くと、京香さんはコーヒーカップを置いて、なになに、と興味深そうに身を乗り出してきた。