危ナイ隣人

見りゃわかんだろ、と言わんばかりの覇気のない返答。

部屋の真ん中を陣取っているソファーに腰掛けて、タバコに火までつけちゃって。


えぇそうですね、わかりますよ。うちと間取りが全く同じみたいだし、広い方がリビングなんですよね。

ていうかキッチンが奥にあるし普通そうですよね、わかります。



って、そうじゃなくて。



「なんでリビングがこんなにゴミで溢れてんですかっ」



部屋に散乱した、脱ぎっぱなしの服。

机の上にはいつのかわからないカップラーメンのゴミがそのままだし、ミネラルウォーターのペットボトルだってあちこちに転がってる。


汚部屋と呼ぶに相応しい光景がそこには広がっていた。



「普通に生活出来てっからいいんだよ」


「普通にって……こんな中でよく普通に生活出来ますね」


「うるせぇ、引いてんじゃねーよ」



いやいや、引くってこんなの。こんな汚い部屋、見たことない。


床の不安があっても、ウチにいた方が良かったかも。

ここにいて大丈夫なのかな……。


一抹の不安を覚え、表情が引きつるのがわかる。



そんな私を知ってか知らずか、お隣さんはタバコを咥えたまま立ち上がり、ソファー周りの服を回収していく。