えー、毎日猛暑が続きますが、皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます。

日頃は……って、この先なんだっけ。なんて言うんだっけ。


……まぁ、何でもいいや。とにかく。


御山茜、ピンチであります。



「っあー!」



オタマ片手に、キッチンで頭を抱える私。


その声を聞いて、ナオくんがひょっこりキッチンに顔を出した。

切ったばかりの黒髪は、毛先が何だかつんつんしてる。



「うわぁっ」


「うわぁって何だよ……。聞いたこともないような奇声が聞こえたから、見に来たんだけど」


「珍獣みたいに言わないでっ!」



いつもの調子の軽口にがるがる噛み付くと、ナオくんが小さな声で「猛獣の間違いか」なんて言う。


違うっつーの!

仮にも彼女に向かって言うことかっ!



「んで? どうしたんだよ」



キッチンに並べられたお皿をざっと見渡しつつ、足を踏み入れることなく問いかけてくる。


許可なく立ち入らないでいてくれる優しさが、傷口に沁みるよ……。



「……見て」



唇を尖らせて言うと、ようやくナオくんがキッチンに入ってくる。

家主なのに許可制みたいになってるの、変なの。