危ナイ隣人

お兄ちゃんと出会うまでのナオくんは、自由じゃなかった。


レールを敷いて、その上を歩かせようとする大人ばかりだった。

レールの上は、ナオくんにとって幸せじゃなかったのに。


でも今、ここにはナオくんを思う大人が3人もいて、ナオくんの幸せを心から願っている。

その実感が、鳥かごに閉じ込められていた時間を補うかのように、ナオくんを包み込む。



なんて愛おしい、と思ったところで、はたと思い出す。



「それぞれの人生を、って……なんで私まで……?」



さっきのお母さんの言葉。

あれには確実に、私のことが含まれていた。


困惑する私の問いに、今度はお父さんが応える。



「俺達が気付いていないと思っていたか?」



静かな声が、胸の奥の、更に奥の方をずどんと刺す。


あまりに深くて、自分自身ではその場所を確認することができない。



何? どういうこと?

気付いてないって、何が?


突然核心を衝くように話を振られて、混乱している。

……でも、確かに痛む部分がある。

私はその傷に、覚えがある。



「昔は、無邪気にパパ、ママって呼んでたのに……圭太が亡くなった直後から、お父さん、お母さんって呼び始めたでしょう」