危ナイ隣人

「真木くんの様子は、先生から時折伺ってたわ。高校を卒業してからの頑張りは、私達にとっても誇らしかった」



でも、とお母さんの言葉は続く。


ベランダの外はもう群青色が大部分を占めて、もうすぐ街を飲み込もうとしている。



「ずっと、圭太が亡くなったことに責任を感じて苦しみ続けていることも聞いていて、もどかしさも感じてた」


「それは……」


「誤解しないでね、責めているわけじゃないのよ。私達の大事な圭太をそこまで思ってくれていることは、本当に嬉しいの」



目の横に浅い皺を刻んで、お母さんが柔らかく微笑む。


その笑みに、娘ながら、妹ながら、面影が重なった。


隣にいる彼も、もしかすると同じように感じているのかな。



「だけど、あなたはまだ若くて、これからうんと長い時間を生きていく。その全てを、罪悪感で満たす必要はないのよ」


「……っ」


「あの時、主人も言ってたでしょう。希望を持って、って。圭太の死を背負ってもいいけれど、その分、自分の時間を生きて。幸せになって。

私達の願いは、変わらず圭太と同じよ」



すぐ隣で、空気の震える気配がした。


私は前を向いたまま、視線は投げない。

ナオくんはかっこつけだってこと知ってるから。

その雫を何度も私に見られるのは、本望じゃないでしょう?