危ナイ隣人

言いたくなかったって……?

ふとナオくんの横顔を見上げると、ナオくんは視線をこちらに寄越して眉を下げた。



「ほら俺、曲がりなりにも成績学年トップだったから。

大学に進学せずに消防士を目指すって担任に伝えたら、すげー怒られたんだよ。何考えてんだって」


「そんな……」


「まぁ、学校としても実績残したいだろうし、あの時の担任の気持ちがわからんでもないけどな」



飄々と言うけれど、自分の決めた道を否定されるのは辛かっただろうな。


それが、担任の先生だけで収まってたかもわかんないよね。

もしそのことを耳にした他の先生も、ナオくんを説得、あるいは叱責してたなら……そりゃ、大人には話したくないって思っちゃう。


子どもだって、子どもなりに考えて選択をしてるのに。


高校時代のナオくんを思って、今の私がモヤモヤしちゃう。

雲の上の進学校の世界のことは、私にはよくわかんないけどさ。



「でも、先生は俺を否定しないでいてくれた。それどころか、消防吏員採用試験について調べてくれたりして」


「調べたって言っても、日程とか方法とか、その程度だけどね。

組織についてはもう随分調べてたし、大卒じゃなくて高卒で入りたいって気持ちを聞いたら、もうそれくらいしかすることなかったから」