危ナイ隣人

再度重なった低音。

だけど、奏でられたのは思いがけない音色だった。



お父さんが連れてきたのは、このマンションの管理人で大家で、お父さんの高校時代の先生だったはずの人なんだけど。


……ナオくんも今、先生って言った?



「なんで、先生がここに……?」



凝視する私には目もくれず、ナオくんの視線はお父さんと大家さんを交互に見つめている。


状況を飲み込めていないのは同じなのに、中身がまるで違う。



「種明かしをするために呼ばれてね」



にこにこと微笑んで大家さんが奇妙なことを言うから、また頭がパニックになって。



「もう一つお茶……は入れられる感じじゃないわねぇ。茜、悪いけど勝手に棚漁るわよー」



この空気に似つかわしくない呑気なテンションのお母さんに、私は半ば投げやりに首を縦に振る。

もちろん内容は頭に入ってきてない。



「先生、まずはお掛けください」


「そうだね。ありがとう」



お父さんに促されて、私達の正面に今度は大家さんが座った。


お父さんと、お茶を入れてきくれたお母さんは床に座る。