危ナイ隣人

やっぱり!



「結構まずい音でしたよね今の」


「普通はあんな音鳴らねえな」



だよね。引っ越してきてから、床が鳴ることはあっても、さっきみたいな音はしなかった。


水……いや、お湯浸しになって、思っていた以上に床が傷んでしまったのかもしれない。



「ゆ、床抜けたりしますか……」



リビングに行くにも寝室に行くにも、トイレに行くにも廊下を通らなきゃなんない。


何度も行き来して、万が一マンションの床が抜けるなんてことがあったら……。



「さすがにそんなことにはならねぇと思うけど」


「そう、ですかね」



そうは言っても、不安だよ。


下に住人がいない(お隣さんいわく)とは言え、万が一のことがあったら……。



失敗続きのせいか、どんどん悪い方に考えちゃって、無意識のうちに表情がぎゅっと固まっていたらしい。


そんな私を見て、お隣さんがまた深いため息を吐いた。



「そんな不安なら……とりあえず、ウチ来れば?」



──と、ここで冒頭に繋がるわけです、えぇ。何の冒頭? 知りませんよ私も。



まさかの展開に、唖然としてしまう私。


そんな私を見て見ぬフリして、お隣さんは平然と続ける。