危ナイ隣人

肩越しに見るナオくんは、直接見るのは初めての、オレンジ色の制服姿。


微かに香るのは、大好きで懐かしいあの日の香り。



「お前ら兄妹はなんでこう、他人のために命を危険に晒すかな」


「あ、あは……。私に関しては、カッコつけたくせにこうして助けてもらっちゃって……」


「ほんとだよ。どんな事情があっても、火災現場に戻るとかありえねぇっつの」


「ご、ごめんなさい……」



言葉の語気が強くなっても、ナオくんは私を抱き締めたまま。


痛いくらいの力で抱き締められて、心が早鐘を打つ。



もう二度と、会うことは叶わないんじゃないかと思っていた人。

私の大好きな人。



「目の前が真っ暗になった。現場に到着して、お前の友達から、茜が見当たらないって聞いた時も……子どものためにお前が店に戻ったって聞いた時も」


「ナオく……」


「ビルに進入して、階段で倒れてるお前を見つけて……情けないくらい、指先が震えた。消防士失格だよな」



自嘲気味な声が私の耳元で鼓膜を振るわせる。


違うよナオくん。

私が無鉄砲だったから。