危ナイ隣人

彼女達が座っていた席の大体の位置を聞き、おおよその目星をつけた。



「じゃあ、また後でね」



涙を引っ込めた女の子に軽く手を振ってから、降りてきた階段を引き返す。



もうこの辺りには人は残ってないし、走っても大丈夫なはず。


急がなきゃ。

早くぬいぐるみを見つけて、早く私も逃げなきゃ。



火や煙はまだ6階に到達していなかった。


急いで店内に駆け込み、伝えられていた席の付近に向かう。


ここにはない。

次の席は……。



「あった、これだ……!」



首元にピンクのリボンをつけたうさぎのぬいぐるみは、ソファの上に無造作に置かれていた。


無事見つかったことに、ほっと胸を撫で下ろす。


あとは逃げるだけだ。



ぬいぐるみを抱えて店を出る。


エレベーターホールを抜けて階段に駆け込んだところで、ハッとした。


上の階から降りてきた煙が、辺り一帯を白く霞ませている。