危ナイ隣人

まだ階段の方は混雑してるし、煙が迫ってる気配もない。


人が減るまでの間に、このフロアにあるイタリアンのお店に声をかけて、誰も残ってないことを確認する。


階段の人影がまばらになったことを確かめて、私も避難を試みた。



階段を降りていくと、他のフロアにいた人達も順番に階段に出てきているようで、やっぱり混雑していた。


6階に差し掛かったところで辺りを見渡したけれど、知っている姿は見なかった。



真帆達はもう逃げたのかな。


今ここで探してる場合じゃないけど、みんななら大丈夫だよね。



6階のフロアを横目に、階段を降りていく。


──と、



「マイのうさちゃん〜〜〜!」



4階と5階間の階段の踊り場手前で聞こえてきたのは、あどけない泣き声。


思わず足を止めて下に視線を向けると、階段の踊り場で小さな女の子が目に大粒の涙を溜めて、母親らしき女性の腕を引っ張っていた。



「今は取りに戻れないのよ、早く逃げなきゃ……!」


「なんで〜! ぱぱからもらったうさちゃんなのに〜〜〜!」