危ナイ隣人

甘いスイーツを食べてる時は、冷たい紅茶に切り替えた。

コーヒーなんて、苦くてとても飲めないから。



「ナオくんだったら、一緒になんて来てくれないんだろうなー……」



無意識のうちに独り言を洗面台に落として、慌てて顔を上げたら情けない自分と目が合った。


初めての恋に踏ん切りをつけられなくて、未練がましく思い出してる、世間知らずのバカなコドモ。



……ブラックコーヒー、今も毎日飲んでんのかな。


マグカップ片手に私をバカにして、1人でケラケラ笑っちゃってさ。


少年みたいなあのいたずらな笑顔を、もう一度だけ、



「見たかっ──」





──ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ





見たかったな。


ぽつりとこぼした言葉をかき消したのは、耳をつんざくような、けたたましいベルの音。



なに、これ。


一瞬思考が停止しそうになって、慌てて意識を引き戻す。



しっかりしろ茜!

わかる。知ってるでしょ。聞いたことあるよ。

小学生の時から訓練してたじゃん。


これは──火災報知機の音!