危ナイ隣人

お隣さんの横を通り抜けて、脱衣所からありったけのバスタオルを取り出す。


脱衣所ももちろんお湯に浸ってしまっていて、目の前がくらくらした。

私って、こんなに間抜けだったっけ……。



「バスタオル、これで全部です」


「俺は廊下拭くから、お前そっち拭け」


「わかりました」



バスタオルを2、3枚渡して、私は指示通り脱衣所に戻る。


ほんっとに何やってんだ。

いきなり夜遅くに扉バンバン叩いて、G退治をお願いして。

それだけでもじゅうぶん非常識なのに、挙げ句の果てにはこんな大失態を犯して、あまつさえ片付けまで手伝わせるなんて。


一人暮らしが始まって、1人でもやっていけるって思ってたのに……迷惑かけまくりじゃんか。



こんなんじゃお兄ちゃんにだって呆れられる。


そう思ったら、悔しくて目の奥が熱くなった。



やだ、泣くなよ私。こんなんで泣くような女じゃないんだから。

涙は、あの時一生分流したはずなんだから……。




バスタオルを何度も絞っては拭き、終いにはフェイスタオルも全部引っ張り出して、全部の水分を拭き取り終えた頃には、夜はとっぷり更けていた。