危ナイ隣人

ようやく思い至って、私は慌てて駆け出した。


リビングの扉を出た──ところで、大きな何かにぶつかった。


いてて、とぶつけた鼻先を押さえて見ると、お隣さんが突っ立っている。



「こんなとこで何して……」



るんですか。続きの言葉は、力なくどこかに消えた。


お隣さんの大きな体から廊下を覗き込んで、そこに広がる光景に絶句してしまったから。



「なっ……にしてんだよお前!」



忌々しそうに吐き捨てて、お隣さんはお風呂場へと入っていく。

足元はバシャバシャって、廊下では絶対に聞かないような音をたてながら。



完全に思考がショートしてしまって、その場から動けない。


さっき洗濯したから、使った下着とか脱衣所にない状態でよかったーなんてこの状況では心底どうでもいいことが、脳内によぎった。



「……コレ」



お風呂場からゴゴゴゴゴ、って地響きみたいな音がして、すぐにお隣さんは廊下に出てきた。


その手には……湯気ののぼる、フェイスタオル?



「お前、なんでお湯張り機能使わねーんだよバカ」


「え……」


「これが排水溝を塞いでた」