危ナイ隣人

涙がぼろぼろ溢れて、止まらなかった。



お兄ちゃん、おにいちゃん、おにーちゃん。


私のことを考えてこんな手の込んだアルバムを作ってくれたお兄ちゃん。


お兄ちゃんが大切だと思うことをプレゼントに込めてくれたお兄ちゃん。



いつだってどこにいたって、私の指針になってくれる。



「自分の目で見たものを、信じる」



ありがとう。


お兄ちゃんのおかげで、ようやく答えが出たよ。



「もう悩んでなんかいらんない……!」



目元をぐいっと拭って立ち上がる。



居ても立っても居られない。

今すぐあのマンションに帰ろう。


ううん、マンションじゃなくたっていい。

ナオくんに会いに行こう。



そう思って立ち上がったところで、



「……ん?」



クローゼットの中に、あるものを見つける。


それは、手の中のアルバムと同じくらい、お兄ちゃんに似つかわしくない──



「これ……っ!」









勢いのままに電話をかけた時、私がナオくんのことを尋ねても、お父さんは驚いた様子を見せなかった。


ということは、きっと私達がお隣さんだって知ってたんだ。

電話した時は考えが至らなくて聞けなかったけど。