危ナイ隣人

小さい頃お兄ちゃんと数えた階段。13段だって、今もはっきり覚えてるよ。



「ふぅ」



見慣れた扉。
表には、【にいにのおへや】と幼い私が書いたプレートが今も掛けられたままだ。



「……入るね」



ギィ、と。
ドアノブに手を掛けて、開けた扉はとても重く感じた。



ふわりと懐かしい香りに包まれて、鼻がツンとする。

久しぶりに入るお兄ちゃんの部屋は、あの頃と変わらずそこにあった。



「カーテン……」



閉め切られたままのカーテンを開けると、雨が激しく窓を打っていて、水がガラスの外側を滝のように流れていく。


雨音を背にして再び部屋に向き直ると、懐かしいものが目に飛び込んできた。



「これ……」



クローゼットの取っ手部分にかけられた、サッカーチームのユニフォーム。


プレイヤーとしても、ファンとしても本当にサッカーが大好きだったお兄ちゃん。

お兄ちゃんの好きなものを好きになりたくて、私も一緒になって中継を見たりしたっけ。


結局、ルールは全然わかんなかったけど……このユニフォームの選手は覚えてる。



「この選手、去年引退しちゃったんだぁ……」