危ナイ隣人

部屋の中に戻っても、その場で立ち尽くすことしか出来ないのは、全ての神経が頭に集中してるからだ。



「バカだなぁ私」



ナオくんが好き。

その気持ちは変わってない。


でも、その気持ちだけで全部丸ごと飲み込んでしまうなんて──そんなの、考えることを放棄してるだけじゃん!



ちゃんと向き合わなきゃ。


そう思ったら、呪縛から解き放たれたように体が勝手に動いていた。


ソファーに投げていたスマホを手に取って、LI●Eを開く。



電話する?

あぁでも、時差があるんだ。

今、向こうって何時だっけ?


……メッセージのほうがいい?

でも、待ってる時間がもどかしいし……。



「電話して、出なかったらメッセージ入れればいっか」



独り言ちてボタンを押した通話に、お父さんは案外すぐに出た。



「うわっ」



そんな素っ頓狂な声が出たのは、まさか出るなんて思ってなかったからだ。


こっちからかけておいて出たらびっくりしてるもんだから、電話の向こうから怪訝そうな声が聞こえてきた。そりゃそうだ。