危ナイ隣人

なんじゃそりゃっ!


尻尾を巻いて去っていく彼女達の背中を眺めながら、はぁと息をつく。



ほんと面倒ったら……!


くだらない嫉妬心で、私達の邪魔しないでほしい。


仮に私と塚田くんがそういう関係だったとして、今みたいな卑怯な手段しか使えない人に負けるわけないってのに!



「……帰ろ」



髪をぐしゃっと掻いて、随分人影の減った廊下を歩き出す。


今日の晩ご飯は、渡航前にお母さんから教わった、しそ味噌ハンバーグを作るんだ。





洗濯物を干しにベランダに出た。


左側を見てみても明かりは漏れていないし、燻らせていた煙が流れてきてもいない。



「これじゃ、黙って引っ越されたってわかんないじゃん……」



いくら連絡したって電話には出ないし、メッセージも既読にならない。


意を決してインターホンを押しても、うんともすんとも言わなかった。



ナオくんが配属されている消防署に行けば確実なんだろうけど……。



「それはしちゃダメだって、さすがにわかるもん……」



高校生の私が、非常識なことをして社会人のナオくんに迷惑かけるなんてこと、あっちゃいけない。