「現時点でも志望校被ってる人がいて嬉しいよ。あいつはR大なんか選択肢にもなさそうだし」


「あー……同じくだよ」



誰とは言わないけれど、私達の頭の中にはきっと同じ3人が浮かんでいると思う。


一緒に目指そうって言ったって、間髪入れずに首を振られるに決まってる。



他に言葉を交わす友達もR大は候補になさそうだし……塚田くんの存在って、そういう意味でも貴重かも。



「またみんなで勉強しようよ。鍋パ兼ねてもいいしさ」


「いいね。前回、結構楽しませてもらったし」


「ほんと? ならよかったけど」



相変わらず表情は平坦だけど、会話と声はお互いに弾んでいる。


このまま話は昨日課された宿題に飛んで、視聴覚室に着いても話題は途絶えなかった。





……と、まぁ、普段無口な塚田くんとこんなふうに一緒にいれば、疑う人はいるわけで。



「御山さんって、プリンス……じゃなかった、塚田くんと付き合ってるの!?」



放課後、帰路に着こうと教室を出かけたところで、女子生徒数人が私の前に立ちはだかった。


何人かは見覚えがあるから、たぶん他クラスの女の子達だ。