危ナイ隣人

いきなり胴上げが始まるわ、号泣する後輩が抱きつくわで大変だったのよ。



それらの波が少し収まった時にね、少し離れたところに直也の姿を見つけたの。


びっくりしたわー。

だって、わざわざ来てるだなんて思ってなかったんだもん。



『お、来たか』



後輩達に囲まれていた圭太も直也に気付いたようで、口角をゆるりと持ち上げた。



『京香、行こう』



傍にいた私の腕を引いて、圭太目当てに群がっている後輩達に断りを入れてからその人垣を抜け出した。


後輩達は寂しそうな素振りを見せながらも、すぐに切り替えて他の卒業生の元へと向かってったっけ。



『花束は?』



開口一番にそう言った圭太に、直也は心底不愉快そうに顔を歪めた。



『なんで俺がお前の卒業式に花束持って来なきゃなんねーんだよ。彼氏じゃあるまいし』


『彼氏かぁ、それはキッツいなー』



高校生活最後の日も、2人は相変わらずだった。


でも、当たり前に見ていた2人の姿がこれからは日常じゃなくなるんだと思うと、ちょっとだけ鼻の奥がツンとした。

兄弟みたいな2人を誰よりも傍で見ることが、いつしか私の楽しみになってたから。



『いやぁ、でもまさかナオが来てくれるなんてなぁ』


『はぁ? お前が来いっつったんだろ』


『うん、言った。言わなきゃ来てくれなそうだもん、お前』



からかうような口調で圭太が言うと、苦虫を噛み潰すような顔で直也が呟いた。