危ナイ隣人

生意気な直也は、それでも私達よりも確かに2つ年下で、その分弱いんだってこと。


それまでの私は、考えもしなかった。



直也の弱さを、圭太は一体いつから見抜いてたのかな……なんて。


もう、今となってはわからないけど。



『全部投げ出す必要なんかないだろ』



圭太の静かな声が、神聖ささえ感じさせる冷たい空気の中に優しく響いた。


直也の漆黒の瞳が、微かに揺れる。



『ナオの頑張りは親のためのものじゃない。全部、お前のもんだ。親が望む結果を棄てられなかったんじゃなくて、ナオが必要だって感じたから、棄てなかっただけだ』



まるでそれが真実であるかのように。

まるでそれが真理であるかのように。


圭太の言葉は揺るぎなく、力強かった。



『また1位を目指すも諦めるも、お前の自由だよ。たとえ親にだろうと、人に強制されるものじゃない』


『…………』


『だから俺は、タバコをやめろとも、不良グループとの関わりを切れとも言わねぇよ。あいつらといる時のお前は楽しそうには見えないけど、ナオが自分で選択して決めたんなら、それが最善なんだろ』



直也の頬に添えられていた手が、黒髪の上に載せられる。


そして、ふっと空気が震える気配がした。



『でも、自分を見失うな。弱いだなんて、そんな悲しい烙印を押すなよ』


『……っ』


『頑張り続けて結果出すって、みんなが出来ることじゃない。それだけでじゅうぶん、お前は強いよ』