危ナイ隣人

『ねぇ……場所変えない? 先生が教室に戻ってくるまでまだ時間あるし、ここじゃ目立つよ』



成績トップの不良と、何かと評判のサッカー部のキャプテンの組み合わせは、何もしてなくたって目立つ。


辺りを見渡して納得したように頷いた圭太は、直也の腕を掴んだまま渡り廊下へとつま先を向けた。



冬の渡り廊下はひどく寒かったのをよく覚えてるわ。


もっと他にあったんじゃないのって、思い返すたびに今でも思う。


だけど、旧校舎とを繋ぐ渡り廊下は用途が限られていて、滅多に利用されることはない。

それだけ、人影のないところですべき話だって、圭太は思ったんでしょうね。

……ほんとに、冷えてトイレに行きたくなっちゃうくらい寒かったけどね。



『何があった? 俺が怒らないうちに話せ』


『…………』


『しらばっくれても無駄だぞ。お前はバカじゃないから、そんな風に顔を腫れさせる喧嘩、いつもだったらしないだろ』



圭太の指摘に、顔を逸らす直也の肩が怯えるように揺れた。


でも、次に直也が視線をこちらに向けた時には、その口元に笑みさえ浮かべられていて。



『んな大したもんじゃねぇよ。ちょっと親と喧嘩しただけだっつの』



直也は笑って言ったわ。


でも、それが無理に作ったものだってことは、私にだってわかった。



『ナオも手を出したのか?』


『……さぁな』



はぐらかしたこと、それが答えだった。直也からは、手を出していない。