危ナイ隣人

……って言っても、何がが劇的に変わったわけじゃないわ。


私達は相変わらず受験生のままだし、直也も悪いやつらとの関わりを絶ったわけじゃなかった。



だけど、



『なぁ圭太。この問題って、この公式で合ってる?』


『どれどれ……って、ナオ、こんな難しい問題解いてんの? これ、2年の後半にやる範囲じゃん』


『うるせぇな、いいだろ黙って教えろよ』


『ん? それが人に物を頼む態度か?』


『……教えてください』


『声ちっせーなぁ。やり直し』


『調子乗んな』



あの日を境に何かが変わった2人。

いつしか圭太は直也をナオと呼んで、直也は圭太を圭太と呼ぶようになって。


2人の関係性は、気の置けない友達同士のようにも、負けず嫌いが反映されたライバルのようにも、素直になれない兄弟のようにも見えた。



そして、私にも変化が訪れる。



『だーっ! 圭太のやつ、うっぜぇ! おいキョウカ!』


『えっ』


『圭太と付き合ってんだろ! あいつの度がすぎるお節介、なんとかしてくれよ!』



2人が打ち解けていくのを外野から眺めるだけだった私に、直也の方から話しかけてくるようになったの。

……って言っても、直也の方は意識してのことじゃなかったかもしれないけど。

圭太の傍にいつもいたから私を、わざわざ排除するのも面倒だった、とかかもしれないけど。