危ナイ隣人

「俺だって、無理して笑う姿を見て何も思わないほど、薄情な男じゃないよ」



いつものポーカーフェイスで、いつもの平坦な声色で……なんてこと言うんだ、この人は。


予想の地平になかった返答に、ぴんと張り詰めていた糸が音を立てたような気がして、ぐっと唇を噛む。



「あり、がと」



喉の奥から声を絞り出して、そう言うのが精一杯だった。


前までの私だったら、もっとうまく誤魔化せてたはずなのに。

こんなに弱くなった自分を、受け止めきれない。



「ちょっとちょっと〜! 2人で何話してんの〜?」



ストローを加えながら、私達の間に割ってきたのはくるみだった。


咄嗟に反応できなかった私を制すように、塚田くんが一歩前に出る。



「今後の作戦会議。俺、新しいクラスに仲良いやついないから」


「そうなの? でも、茜がいるじゃん」


「うん。だから頼りにしようと思って」



ね、とこちらを振り返った塚田くんの表情は、やっぱりいつもと変わらない。



「……うん。仲良い子いないもの同士、頑張ろうね塚田くん」



わかんないことだらけで、苦しくて、前だって見えないままだけど……こうして心配して、寄り添ってくれる人がいる。

それだけで、心が少し軽くなる。