危ナイ隣人

「なんだ、簡単じゃねぇか。激ムズとか言うから、どんな問題かと思ったわ」


「……え?」



だけど、返ってきたのは予想外の反応だった。



「まず5の20乗の常用対数を求めるだろ。log10の5の20乗は20log10の5になるから、そのまま……」


「ちょ、ちょ……! ストップ!」



コーヒーを飲みながら、紙にも書かずスラスラ解いていくナオくんに、つい制止をかけてしまう。


するとナオくんは不服そうに、「なんだよ」って目で私を見下ろしてきた。



「ナ、ナオくんって実は数学できるの……?」


「実はってなんだよ」



ぽこんと頭を小突かれた。



「俺だってギムキョーイク受けて、一応高校も出てんだぞ。これくらい出来たって不思議じゃねーだろ」


「それはそう、だけど……」



でも、こんなにスラスラ解けるなんて……ちょっと、いや、かなりびっくり。


しかもさ、現役高校生の私がぜんぜん解けなかった問題だよ?

それを、パッと見ただけで答えを導き出しちゃうなんて……。



「高校の時、理系選択だったの?」


「いや? ガッツリ文系」


「えぇ……」



ますますナオくんのことがよくわからない。


チャラかったんじゃないの? ピアス開けたりしちゃってたんでしょ?


この人、一体どんな高校生だったの……。



「高校の話はもういいだろ」



思考が顔に出てたのか、少し煩わしそうな様子を見せたナオくんは私から顔を逸らして、またコーヒーを口に含んだ。