危ナイ隣人

「ほんとお前は素直じゃねーなぁ」


「……これは、素直とか関係ないもん」



むうっと頬を膨らまして、体ごと前を向いた。


前方の信号が黄色から赤になって、緩やかに車が停止する。



「実はさっき、ずっとドキドキしてたんだ」


「え、なんで?」


「通報されたらどうしようかと思ってさ」


「はぁ?」



唐突な告白にナオくんの横顔を凝視すると、ナオくんはこちらを一瞥することもなく、いたって真剣な眼差しのまま答えた。


あまりに素っ頓狂な声が出たのも、仕方ないと思う。答えが素っ頓狂なんだもん!



「高校に車横付けとか、初めてしたもん俺。不審者って思われないか、心配で心配で」


「嘘でしょ? そういう風には見えなかったけど」


「大人の冷静な振る舞いってやつだ」



真面目な顔して、テキトー発言。


いつもの調子すぎて、嘘かほんとかわかんないな。



「……私今、制服だけど、外食は大丈夫なの?」


「げっ。やべぇ、うっかりしてた」



……今日に限っては、あながちほんとかもしれない。



「お、ここだ」



数秒前の自分の言葉なんてもう忘れて、ナオくんは左にハンドルを切った。


スーパーを除くナオくんと初めてのお出かけ先は、藁で作られたような大きな屋根が特徴的な、もんじゃのお店。

こういうの、茅葺き屋根って言うんだっけ。



「ここのもんじゃが美味いんだよ」


「来たことあるの?」


「あぁ。前に、班のメンバーでな」



班のメンバーってことは、本郷さん達のことだよね。

体格のいい男の人達が鉄板囲んでもんじゃって、微笑ましすぎない?


その光景見てみたかったなぁ、なんて思いながら、先に車を降りたナオくんを慌てて追う。