危ナイ隣人

「ちょ、ちょっとくるみ……!」


「あ。私達、茜の友達です。前からお会いしてみたかったんですよ、お隣さんがイケメンだって茜が言うから〜」



制止は叶わず、くるみの声はしっかりとナオくんに届いてしまった。


さ、最悪……!


錆びたブリキ並みに鈍い動きでナオくんの方を向く……と、予想通りニヤニヤ笑ってる。



「へぇ、そんなこと言ってたんだ」


「顔だけは悪くないって言ったんだよ」


「中身も伴ってるだろ?」


「よく言う!」



私達のやりとりを、真帆とくるみが口元を緩めながら見ている。


あぁもう、こんなことになるんならナオくんが迎えにきてくれること、黙ってればよかったよ……。



火をつけたばかりのタバコを、反対の手で持っていた金属製の何かにグリグリ押し付ける。


よく見ると、ボディ部分がレザーっぽく加工されている。

携帯灰皿みたいだけど、なんだかおしゃれだな。



「そろそろ行くか。腹減った」


「そうだね。じゃ、バイバイ」



終始ニヤニヤしていた女子2人と、ナオくんの登場に少しだけ目を輝かせていた近藤。

それから、何も言わずただ静かにその場にいた塚田くんに手を振って、私はナオくんの車に乗り込んだ。



車がゆっくりと加速して、みんなの影が夜の闇に消えていく。


家とは逆の方向に、もんじゃのお店があるらしい。



「言っとくけど、イケメンなんて説明は1回もしてないからね!?」


「今更照れんなって」


「照れてるんじゃないから! これは私の沽券に関わる話なの!」


「コケンて。大層だな」



助手席から身を乗り出して噛みつく私に、ナオくんは苦笑い。