楽しい気分の傍らで、ふと蘇る。



ジュースを買いに、スーパーに行った後。

403号室に帰ってきた私は、玄関を開けた途端に広がっていたあまりに静かな空気に、思わず息を呑んだ。


リビングから漏れ出る光に影を潜め、入っていいものかと決めあぐねている時に聞こえてきた、京香さんの声。



「これだけの人を救っても、あんたはまだ自分を許さないのね」



──あの言葉は、どういう意味だったんだろう?