危ナイ隣人

ふわふわ笑顔を振りまきながら、くるみは中々遠慮がない。

だからこそ気を遣わなくて好きなんだけどさ。



「あーあ、カワイソウ。あいつら、しばらく立ち直れねーぞー」



背後から聞こえてきたのは、久しぶりに聞く低音。


弾かれるように振り向くと、教室のスライドドアの近くに、2人の男子生徒が立っていた。



「……棒読み。絶対可哀想なんて思ってないでしょ、近藤」


「ははっ、バレた?」



声の主は、近藤太一(こんどうたいち)

陸上部に所属していて、去年に引き続き同じクラスの男子。

一言で表すなら、「いいヤツ」。これに尽きる。



「同情の余地ナシだろ、あんなん。なぁ、昴」


「……そうだな」



昴、と呼ばれた彼は、隣のクラスの塚田昴(つかだすばる)くん。

1年生の頃からイケメンって女子の間でもちきりで、それでもクールだからあんまり女子と話してるところは見たことがない。


近藤とは中学からの付き合いで親友らしく、よく話してるところを見るけど……そうやって一方的に知ってるだけで、ちゃんと話したことはないなぁ。