危ナイ隣人

な……なんだろう。なんていうか、息ピッタリ?



「……あの。お2人は、どういう」


「あぁ、ごめん言ってなかったね。私は高倉(たかくら)京香。直也とは、高校の先輩後輩って間柄なの」



ナオくんを押し除けて、京香さんが手を差し出してくれる。


冬らしいボルドーのネイルを施された指先に、思わず見惚れそうになって慌てて私も手を出した。



高校の先輩後輩かぁ。

本当にそれだけなのかなぁ。

本人達はもう大人だからそう言ってるだけで、本当は過去に何かあったりしないのかな。



きゅっと手を握った京香さんの背後から、ナオくんがジトっとした目で顔を覗かせる。



「年食ってるのはコイツの方な」


「人生経験が豊富って言ってくれる?」


「それなら謙虚さとか遠慮とか身につけれや」



それに、とナオくんがため息混じりに声を落とす。



「人生経験つったって、豊富なのはダメ男経験ばっかじゃねぇか」


「ナオくんみたいな?」


「なんでだよ。俺はダメ男じゃねぇし、俺達はそんなんじゃ──って、おい!?」



突然ナオくんが声をあげたのは……京香さんの目に大粒の涙が浮かんだから。


綺麗な顔が、さっきとは違うふうにしわくちゃに歪められる。



「ったく、その様子じゃまたダメ男に引っ掛かったのか……」


「……え?」


「俺のとこに酒持って乗り込んでくる時は、大抵男絡みだからな。アタリだろ?」



話を振られて、京香さんは悔しそうに唇を噛みながら小さく頷いた。



「あの男……昨日はクリスマスだってのに、別の女とディナーしてた」