危ナイ隣人

一々顔を向けるのも面倒で、私は真帆達の方を向いたまま息を吐いた。



「ほんっと……くだらないったら」



適度に張り上げた声に、周りの空気がピシッと張り詰めたのがわかる。


真帆とくるみの目元は既に笑ってて、私が何を口走るか、目に見えてるみたいだ。



「中身も知らない女相手に、下半身でしか物事考えられない男なんか死んでもごめんだわ」



勝気に言い放つと、声の主が視界の端で走り去っていくのが見えた。


周りがその様子を茫然と見ていて、ついに堪えきれなくなったように真帆が吹き出した。



「あっはっはっ、ほんっとあんたブレないね」


「笑いすぎだし」


「いやー、笑っちゃうよこれは。また言われるよー? 見た目詐欺、って」



くるみによって遠慮なく放たれた単語に、思わず苦虫を噛み潰したような顔になる。


好きでこの見た目なわけじゃないし。おしとやかとはかけ離れてることも、ちゃんと自覚してる。



「詐欺って……ほんと迷惑だよね。生まれた時からこの顔だし、性格だって隠してないってのに」


「まぁ、茜の見た目じゃしょうがないよ。アタシのこと守ってっハート、って言ってる方がしっくりくるもん」