危ナイ隣人

テンパりまくって、それが新たな混乱を引き起こした。

うーん、あれに関しては全部Gが悪かったって信じたい……。



「可愛げないことは自分でもわかってるよ。もっと甘えてほしいってお父さん達が思ってることも知ってる。

でも、もう染み付いちゃってんだよね。素直に甘えるとか頼るとか今更で、やり方わかんない」



お兄ちゃんみたいに強くなりたい。

お兄ちゃんみたいに、まっすぐに前を見られる人間になりたい。


お兄ちゃんがいなくなって、ぽっかり穴が空いた。

その穴を少しでも埋めるために、甘えただった“妹”の私はもういらない。



「心配してくれてありがと。でも、強がってるわけじゃないから大丈夫だよ」



なるべく、淡々と答えた。


頬の筋肉を引き上げようとして、



「ったくお前は……」


「な、なにひゅんのっ」



ナオくんの右手で両頬を挟まれた。


ムギュって、ちょっと指で挟むだけじゃない。

けっこう力入れられて……顔のお肉が全部真ん中に集まってる!



「ははっ、ブサイク」


「ブサイクにしてる本人がよく言う!」



押し出されて、唇がヒヨコみたいになってる。

こんな状態で、ブサイクにならない奇跡みたいな人間いないっつの!



両手でようやく振り解いて、キッとナオくんを睨みつけてやる。



「不用意に女子高生に触っちゃいけないんじゃないの?」


「あぁ、そうだった。お前があまりにブサイクな顔しそうだったから、思わず手が出ちまった」