「失礼...します...」
「なんだ、その弱々しい声は!元気出せ!」
ショートカットの男の子っぽい先輩
井久田先輩が、困った顔をしながら笑っていた。
「...す、すいません。
ちょっと今日は、自信なくて。
実は、絵に興味あると言いながら、
やったことなくて...」
私は、思わず、思っていたことを
素直に言ってしまった。
すると、先輩はキョトンとしながら
「知ってるよ。だから、マナブんでしょ?」
と、当たり前の事のように返事をした。
私は、その時に、ハッとし
「あ!そうか!
すみません、なんか...」
と告げ、頭を下げた。
「うんうん、とりあえず、座って。始めるよー」
と軽い感じで、井久田先輩の前の椅子を
指差された。
私は、小走りで椅子へと向かい
着席する。
先輩は、鉛筆の削り方から
描くときのポイントまで
丁寧にお話をしてくれて
時間はあっという間に
過ぎていった。



