「なんで…」
私は、自然と呟いた。
「俺が楚和のこと好きだって言ったヤツらが
教室で、昨日居なかった男子らと話したらしい。
Bの好きなやつ、楚和らしい…
って。アイツらの中では、
聞こえてないと思ってたらしいけど
アイツら声でけーから、A子が知ったらしいんだ。
でも、その話は
どこからか、代わってしまっていて…
俺が登校してきたときには、
楚和は、そのことを知ってたんじゃないか
とか
知ってて、仲良くしてきた!?最低!!
とか
勝手に話変わってるわ、
いつの間にか、楚和が悪物になってるわで…
その話が聞こえてきた時に、なんか
カーッとなって、つい
アイツは知らない!って
A子達に言いに行ったけど、
楚和をかばい出したとか、
逆に悪くなってしまって…
悪い…
もっと早く…話に気付いていれば…
ほんと……ごめん……」
そう呟き、B君はまた
鼻をすすりながら泣いてくれた。
私は素直に
(そこまで、思ってくれてありがとう)
と思えた。と同時に
これは、A子ちゃんが悪いわけでもない、
B君が悪いわけでもない。
誰も悪くない。噂が勝手に1人歩きしたんだ。
でも、B君は、これからずっと気にしてしまうだろう、
だから、笑おう。
私が、辛そうな顔をする度に、
きっと、俺が悪いと
B君は、思ってしまう、それだけは避けたい。
だから何があっても笑うんだ。
そんなことを考えいた。
時計を見ると、朝礼が終わろうとしていた。
「とりあえず、ありがとう
B君は教室に戻った方がいいよ。
顔…洗って行ってね。」
そう、伝えて
私はB君を見て、微笑んだ。
B君は、ぐしゃぐしゃになった泣き顔で
こちらを見て、小さく頷き、図書室から
出ていった。



