露店の中には異国の動物を扱っている珍しい店もあり、そこには見た事の無い動物達が籠に入れられていた。
その中に居た、茶色の毛並みを持った小さい動物がとんでもなく可愛くて。
ちょこちょこ籠の中を走り回るその愛くるしい姿に、カヤたちはしばらくの間その場を動けなかった。
ユタなんかは、本気で飼おうかどうか最後の最後まで悩んでいた。(値段を聞いて、肩を落として諦めていた)
見るもの全てが新鮮で、キラキラと輝いて見えて、楽しすぎて時間を忘れるとは正にこの事だった。
なんてこと無いような事でお腹の底から笑い合って、普段じゃ考えられないほどにはしゃいで。
本当にあっという間に太陽は進んでしまい、気が付くと西の空が真っ赤に染まっていた。
「わー、もうすっかり夕方ですねえ」
ナツナの驚いたような声に、胸が小さく締め付けられる。
嗚呼、もう終わってしまうんだ。
寂しい気持ちで山に隠れてしまった太陽を見つめていると、ユタにぐいっと手を引っ張られた。
「行きましょ、カヤ!」
「え?どこに?」
「決まってるでしょ、広場よ」
不思議そうにそう言うユタに手を引かれながら、カヤは広場へと向かう。
ふと周りを見ると、カヤ達以外の民も皆、広場へと足を運んでいるようだった。
「広場で何かあるの?」
少しずつ薄暗くなっていく中、何がなんだかさっぱり分からないカヤは問いかけた。
「あら?知らないの?」
前を行くユタが驚いたような顔で振り返る。
「夜の踊りよ!春の祭事の夜は、一晩中踊り明かすの」
浮かれた声のユタの向こう側には、黄昏時を照らす炎が見えた。
風に乗って、不思議な音楽も聞こえてくる。
「……わあ」
広場に着いたカヤは、思わず声を上げた。
朝、翠がお祈りをした広場はあの静粛な空気が嘘のように活気に満ち溢れていた。
祭壇が置かれていた場所には太い薪木が四角く組まれ、赤々とした大きな炎が灯っている。
その焚き木を囲うようにして、たくさんの人達がひしめき合っていた。
焚き木の近くには見たことの無い楽器を弾いている人達が居て、人々はその浮足立つような音楽に合わせて踊っている。
その旋律は繊細なわけでもなく、洗礼されているわけでもないのに、不思議と親近感を覚えるものだった。
人々は2人組で手を取り合い、くるくると目まぐるしく回って、そして誰もが笑っていた。
弾むような音楽が、溢れるような笑い声が、心臓の鼓動を早める。
手が、足が、体が疼く。
産まれて初めて見る光景なのに、その喧噪が自分を呼んでいる気がしてならない。
まるで、お前みたいな人間も、この輪に混ざっても良いんだとと言うように。
その中に居た、茶色の毛並みを持った小さい動物がとんでもなく可愛くて。
ちょこちょこ籠の中を走り回るその愛くるしい姿に、カヤたちはしばらくの間その場を動けなかった。
ユタなんかは、本気で飼おうかどうか最後の最後まで悩んでいた。(値段を聞いて、肩を落として諦めていた)
見るもの全てが新鮮で、キラキラと輝いて見えて、楽しすぎて時間を忘れるとは正にこの事だった。
なんてこと無いような事でお腹の底から笑い合って、普段じゃ考えられないほどにはしゃいで。
本当にあっという間に太陽は進んでしまい、気が付くと西の空が真っ赤に染まっていた。
「わー、もうすっかり夕方ですねえ」
ナツナの驚いたような声に、胸が小さく締め付けられる。
嗚呼、もう終わってしまうんだ。
寂しい気持ちで山に隠れてしまった太陽を見つめていると、ユタにぐいっと手を引っ張られた。
「行きましょ、カヤ!」
「え?どこに?」
「決まってるでしょ、広場よ」
不思議そうにそう言うユタに手を引かれながら、カヤは広場へと向かう。
ふと周りを見ると、カヤ達以外の民も皆、広場へと足を運んでいるようだった。
「広場で何かあるの?」
少しずつ薄暗くなっていく中、何がなんだかさっぱり分からないカヤは問いかけた。
「あら?知らないの?」
前を行くユタが驚いたような顔で振り返る。
「夜の踊りよ!春の祭事の夜は、一晩中踊り明かすの」
浮かれた声のユタの向こう側には、黄昏時を照らす炎が見えた。
風に乗って、不思議な音楽も聞こえてくる。
「……わあ」
広場に着いたカヤは、思わず声を上げた。
朝、翠がお祈りをした広場はあの静粛な空気が嘘のように活気に満ち溢れていた。
祭壇が置かれていた場所には太い薪木が四角く組まれ、赤々とした大きな炎が灯っている。
その焚き木を囲うようにして、たくさんの人達がひしめき合っていた。
焚き木の近くには見たことの無い楽器を弾いている人達が居て、人々はその浮足立つような音楽に合わせて踊っている。
その旋律は繊細なわけでもなく、洗礼されているわけでもないのに、不思議と親近感を覚えるものだった。
人々は2人組で手を取り合い、くるくると目まぐるしく回って、そして誰もが笑っていた。
弾むような音楽が、溢れるような笑い声が、心臓の鼓動を早める。
手が、足が、体が疼く。
産まれて初めて見る光景なのに、その喧噪が自分を呼んでいる気がしてならない。
まるで、お前みたいな人間も、この輪に混ざっても良いんだとと言うように。
