けれどそのままでは、誰かの優しさに気が付く事など一生出来ない。
閉じた瞼を開けて、下げていた顔を上げて、見せなかった心を見せた時、人は、ようやく独りじゃないと悟るのだ。
「貴方の意志は、とても真っすぐだ!」
―――――ねえ、だからその澱みの無い心を、少しで良い。大切な人に見せて。
僅かに残っていた最後の力を振り絞った時、奇跡が起きた。
増えた水が幸を成したらしい。
浮力のお陰で、あれほど動かなかった岩がようやく、ゴトリ、と音を立てて僅かに浮いた。
「は、やく……出てっ……!」
死にもの狂いで叫んだ。筋肉が悲鳴を上げ、腕が千切れそうだった。
「くっ……」
ハヤセミが、水の中で身を捩りながら岩から抜け出た。
その直後、カヤの腕が限界を迎えた。
バシャンッ!と激しい水飛沫と共に、二人はもつれるようにして水の中へ倒れ込んだ。
「あ、足っ、付いてますかっ……?」
カヤは息も絶え絶えになりながら、必死に水中でハヤセミの足をまさぐった。
「ああ……なんとか付いてる……」
カヤと同じくらいぐったりしながら、ハヤセミが言った。
彼の言う通り、足はちゃんと付いていた。
二人がそろって安堵の息を吐いた時、眩しい光が眼を刺した。
いつの間にか、固く閉ざされていた瓦礫の壁に、人間が通れるほどの穴が空いていた。
「カヤ!蒼月!」
その穴から、翠が脇目も振らずに飛び込んできた。
「兄上、大丈夫ですか!」
「おい、ハヤセミ!足を挟まれたって!?大丈夫かよ!」
そのすぐ後ろから、ミナトと弥依彦が続けて入って来た。
三人はバシャバシャと水飛沫を上げながら、満身創痍状態のカヤ達に近づいてきた。
「カヤ、崩れる前に此処を出るぞ!」
「さあ兄上、お手を!俺の肩に捕まって下さい!」
「おい、ハヤセミ!そっちの腕も貸せ!」
カヤは翠に腕を引かれながら、そしてハヤセミは、ミナトと弥依彦の肩に担がれながら、あれよあれよの間に穴を出た。
穴の外は、カヤ達が閉じ込められていた空間とさほど変わりは無かった。
砦の面影は一切無く、そこら中が崩れた瓦礫や木々に溢れ、足元には水が溜まっている。
ただ唯一違うのは、外に出る出口までの道が開けている事だった。
ハヤセミが言った通り、カヤ達は崩落に巻き込まれ、砦の地下部分にまで落ちていたらしい。
瓦礫の山を超えた先に辿り着いたのは、かつてカヤがミナトと律の力を借りて脱走した時に使った地下牢の外扉だった。
閉じた瞼を開けて、下げていた顔を上げて、見せなかった心を見せた時、人は、ようやく独りじゃないと悟るのだ。
「貴方の意志は、とても真っすぐだ!」
―――――ねえ、だからその澱みの無い心を、少しで良い。大切な人に見せて。
僅かに残っていた最後の力を振り絞った時、奇跡が起きた。
増えた水が幸を成したらしい。
浮力のお陰で、あれほど動かなかった岩がようやく、ゴトリ、と音を立てて僅かに浮いた。
「は、やく……出てっ……!」
死にもの狂いで叫んだ。筋肉が悲鳴を上げ、腕が千切れそうだった。
「くっ……」
ハヤセミが、水の中で身を捩りながら岩から抜け出た。
その直後、カヤの腕が限界を迎えた。
バシャンッ!と激しい水飛沫と共に、二人はもつれるようにして水の中へ倒れ込んだ。
「あ、足っ、付いてますかっ……?」
カヤは息も絶え絶えになりながら、必死に水中でハヤセミの足をまさぐった。
「ああ……なんとか付いてる……」
カヤと同じくらいぐったりしながら、ハヤセミが言った。
彼の言う通り、足はちゃんと付いていた。
二人がそろって安堵の息を吐いた時、眩しい光が眼を刺した。
いつの間にか、固く閉ざされていた瓦礫の壁に、人間が通れるほどの穴が空いていた。
「カヤ!蒼月!」
その穴から、翠が脇目も振らずに飛び込んできた。
「兄上、大丈夫ですか!」
「おい、ハヤセミ!足を挟まれたって!?大丈夫かよ!」
そのすぐ後ろから、ミナトと弥依彦が続けて入って来た。
三人はバシャバシャと水飛沫を上げながら、満身創痍状態のカヤ達に近づいてきた。
「カヤ、崩れる前に此処を出るぞ!」
「さあ兄上、お手を!俺の肩に捕まって下さい!」
「おい、ハヤセミ!そっちの腕も貸せ!」
カヤは翠に腕を引かれながら、そしてハヤセミは、ミナトと弥依彦の肩に担がれながら、あれよあれよの間に穴を出た。
穴の外は、カヤ達が閉じ込められていた空間とさほど変わりは無かった。
砦の面影は一切無く、そこら中が崩れた瓦礫や木々に溢れ、足元には水が溜まっている。
ただ唯一違うのは、外に出る出口までの道が開けている事だった。
ハヤセミが言った通り、カヤ達は崩落に巻き込まれ、砦の地下部分にまで落ちていたらしい。
瓦礫の山を超えた先に辿り着いたのは、かつてカヤがミナトと律の力を借りて脱走した時に使った地下牢の外扉だった。
