「ねえ、ユタはッ……?膳様とか、他の皆は!?」
「先に逃げるように言ったのです!きっとこの辺りに居るはずっ……」
キョロキョロと辺りを見回したナツナは「ああ、居たのです!」と声を上げた。
そこには、ユタ、膳、弥依彦、虎松の四人が木の陰に隠れるようにして潜んで居た。
皆一様に寝間着姿のままで、激しく動揺した表情を浮かべている。
カヤ達を見つけた瞬間、膳が一目散に駆け寄ってきた。
「おお!無事だったか!蒼月に怪我は無いか!」
「はい、無いです!それにしても、膳様、一体何がっ……?」
「分からぬのだ!気が付いたらあやつ等が集落をっ……もしや金目当ての賊かもしれぬ。しかし、何だってこんな小さな集落を、わざわざ……」
その場の全員が、木々の隙間から集落の方角を見やった。
森の中に居ても分かるほど、空が真っ赤に燃えていた。
風に乗って、男達の怒声、木がパチパチと燃える音、家屋が倒壊する音が聴こえてくる。
――――他の皆は、無事に逃げたのだろうか。
きっとその場の誰しもが同じ事を考え、絶句した。
(……翠)
恐怖と混乱で満ちる頭の中、その人の存在だけが、やけにはっきり浮かんだ。
一刻も早く翠に知らせなければいけない、と思った。
何か普通では無い事が起きている。
カヤは先ほど懐に投げ入れた黒い球を取り出した。
律が近くに居るのかは全く分からないが、もしこの合図に気が付いてくれたなら、きっと集落に来てくれる。
そして彼女なら、必ずや翠に状況を知らせてくれるだろう。
「ナツナ!私、これ使って律に合図してくる!蒼月をお願いしても良いっ?」
「だ、大丈夫なのですか!?」
蒼月をしっかりと受け取りながら、ナツナが不安げに言った。
「火を付けて投げるだけだから!すぐに戻って来る!ちゃんと隠れててね!」
カヤは、既に集落の方向に走り出しながら叫んだ。
「はいなのです!」とナツナの返事を背中で聴きながら、玉を握り締めながら木々の間をすり抜けていく。
律は、玉から出ている紐に火を付けろと言っていた。
恐らくこれは導火線で、丸い球の中には火薬でも入っているのだろう。
そして幸いにも、火ならすぐ近くで轟々と燃え盛っている。
それを少し拝借して、思い切り投げて、そしてすぐに戻って皆で遠くへ逃げよう。
頭の中で必死に段取りしながら走っていると、
「――――……おいっ……おい!クンリク!」
背後から、激しく息切れした声が聞こえてきた。
「先に逃げるように言ったのです!きっとこの辺りに居るはずっ……」
キョロキョロと辺りを見回したナツナは「ああ、居たのです!」と声を上げた。
そこには、ユタ、膳、弥依彦、虎松の四人が木の陰に隠れるようにして潜んで居た。
皆一様に寝間着姿のままで、激しく動揺した表情を浮かべている。
カヤ達を見つけた瞬間、膳が一目散に駆け寄ってきた。
「おお!無事だったか!蒼月に怪我は無いか!」
「はい、無いです!それにしても、膳様、一体何がっ……?」
「分からぬのだ!気が付いたらあやつ等が集落をっ……もしや金目当ての賊かもしれぬ。しかし、何だってこんな小さな集落を、わざわざ……」
その場の全員が、木々の隙間から集落の方角を見やった。
森の中に居ても分かるほど、空が真っ赤に燃えていた。
風に乗って、男達の怒声、木がパチパチと燃える音、家屋が倒壊する音が聴こえてくる。
――――他の皆は、無事に逃げたのだろうか。
きっとその場の誰しもが同じ事を考え、絶句した。
(……翠)
恐怖と混乱で満ちる頭の中、その人の存在だけが、やけにはっきり浮かんだ。
一刻も早く翠に知らせなければいけない、と思った。
何か普通では無い事が起きている。
カヤは先ほど懐に投げ入れた黒い球を取り出した。
律が近くに居るのかは全く分からないが、もしこの合図に気が付いてくれたなら、きっと集落に来てくれる。
そして彼女なら、必ずや翠に状況を知らせてくれるだろう。
「ナツナ!私、これ使って律に合図してくる!蒼月をお願いしても良いっ?」
「だ、大丈夫なのですか!?」
蒼月をしっかりと受け取りながら、ナツナが不安げに言った。
「火を付けて投げるだけだから!すぐに戻って来る!ちゃんと隠れててね!」
カヤは、既に集落の方向に走り出しながら叫んだ。
「はいなのです!」とナツナの返事を背中で聴きながら、玉を握り締めながら木々の間をすり抜けていく。
律は、玉から出ている紐に火を付けろと言っていた。
恐らくこれは導火線で、丸い球の中には火薬でも入っているのだろう。
そして幸いにも、火ならすぐ近くで轟々と燃え盛っている。
それを少し拝借して、思い切り投げて、そしてすぐに戻って皆で遠くへ逃げよう。
頭の中で必死に段取りしながら走っていると、
「――――……おいっ……おい!クンリク!」
背後から、激しく息切れした声が聞こえてきた。
