「だー!自分でもどうかしてたと思ってるよ!」
真っ赤な顔をしたミナトが、カヤの攻撃から逃げながら大声で喚く。
「でも仕方ねえだろうが!お前があんな風に泣くからだろ!」
「さ、最低!開き直らないでよ、馬鹿!」
最期に渾身の力で、バシィ!とミナトを叩いた後、カヤは熱くて爆発してしまいそうな頬っぺたを、ぎゅっと包み込んだ。
(ま、まさか、あの時そんな事をっ……)
いや、確かにそう言えば、何となく可笑しいとは思ったんだ。
カヤの唇をじっと見て、「赤い」だなんて言ってきて、そしてそう言われれば、緩く頬を引き寄せられた。
あの時は偶然ユタが戻ってきたから何も思わずミナトから離れたけれど、もしもユタが来なかったら、あのまま―――――
ぷしゅう、と脳みそが限界に達し、カヤはしゅるしゅると俯いてしまった。
「ま、まあ、そういう訳で」
大いにどもりながら、ミナトが口を開いた。
「その俺の阿呆な行動を、ユタがしっかり目撃したらしく……それをあいつがナツナとヤガミに広めてくれたんだろうな」
なんともまあ、確かにユタが面白がって広めそうな事ではある。
よもや自分とミナトが、三人からそんな風に見られてたなんて全く気が付かなかった。
どうして言ってくれなかったんだ。
いや、しかしながら、確かにユタもヤガミも、事あるごとにカヤとミナトを見て、やたらニヤニヤしていたような気もする。
(全部そういう事かっ……!)
恥ずかしさで一人で悶えていると、ミナトが気を取り直したように咳払いした。
「……とにかく、お前の気持ちも考えず本当に悪い事したと思ってる」
未だに耳まで真っ赤にしながら、ミナトは低い声で言う。
「こんな事言っても言い訳にしか聞こえねえだろうし、まあ確かに男としてのサガ的なものもあったのは間違いねえんだけど……ただ、確かめたかったって言う気持ちが一番大きかったんだ」
「……確かめる?」
カヤには、口付けをした所で確かめられるような『何か』は想像出来なかった。
「俺自身、あんまりにもガキの頃からお前の事を思ってたせいで、なんか良く分かんなかったんだ。本当にお前を、一人の女として好きなのか」
カヤは、心がムズムズとしてしまった。
幼い頃あんなに華奢で弱々しかったミズノエがそんな事を言うのも、純粋に友達だと思っていたミナトがそんな事を言うのも、未だに信じられない。
彼をそんな対象に全く思っていなかったのだ。
だからその言葉は、何だか生々しく感じられてしまった。
「だから口付けでもしたら、はっきりすんのかなと思って……うっかりあんな事しました。すいませんでした」
ミナトが深々と頭を下げるので、カヤは自分の感情を何処にどう向ければ良いのか分からなくなってしまった。
真っ赤な顔をしたミナトが、カヤの攻撃から逃げながら大声で喚く。
「でも仕方ねえだろうが!お前があんな風に泣くからだろ!」
「さ、最低!開き直らないでよ、馬鹿!」
最期に渾身の力で、バシィ!とミナトを叩いた後、カヤは熱くて爆発してしまいそうな頬っぺたを、ぎゅっと包み込んだ。
(ま、まさか、あの時そんな事をっ……)
いや、確かにそう言えば、何となく可笑しいとは思ったんだ。
カヤの唇をじっと見て、「赤い」だなんて言ってきて、そしてそう言われれば、緩く頬を引き寄せられた。
あの時は偶然ユタが戻ってきたから何も思わずミナトから離れたけれど、もしもユタが来なかったら、あのまま―――――
ぷしゅう、と脳みそが限界に達し、カヤはしゅるしゅると俯いてしまった。
「ま、まあ、そういう訳で」
大いにどもりながら、ミナトが口を開いた。
「その俺の阿呆な行動を、ユタがしっかり目撃したらしく……それをあいつがナツナとヤガミに広めてくれたんだろうな」
なんともまあ、確かにユタが面白がって広めそうな事ではある。
よもや自分とミナトが、三人からそんな風に見られてたなんて全く気が付かなかった。
どうして言ってくれなかったんだ。
いや、しかしながら、確かにユタもヤガミも、事あるごとにカヤとミナトを見て、やたらニヤニヤしていたような気もする。
(全部そういう事かっ……!)
恥ずかしさで一人で悶えていると、ミナトが気を取り直したように咳払いした。
「……とにかく、お前の気持ちも考えず本当に悪い事したと思ってる」
未だに耳まで真っ赤にしながら、ミナトは低い声で言う。
「こんな事言っても言い訳にしか聞こえねえだろうし、まあ確かに男としてのサガ的なものもあったのは間違いねえんだけど……ただ、確かめたかったって言う気持ちが一番大きかったんだ」
「……確かめる?」
カヤには、口付けをした所で確かめられるような『何か』は想像出来なかった。
「俺自身、あんまりにもガキの頃からお前の事を思ってたせいで、なんか良く分かんなかったんだ。本当にお前を、一人の女として好きなのか」
カヤは、心がムズムズとしてしまった。
幼い頃あんなに華奢で弱々しかったミズノエがそんな事を言うのも、純粋に友達だと思っていたミナトがそんな事を言うのも、未だに信じられない。
彼をそんな対象に全く思っていなかったのだ。
だからその言葉は、何だか生々しく感じられてしまった。
「だから口付けでもしたら、はっきりすんのかなと思って……うっかりあんな事しました。すいませんでした」
ミナトが深々と頭を下げるので、カヤは自分の感情を何処にどう向ければ良いのか分からなくなってしまった。
