「う、うん」
慌てて頷くと「良かったです」とナツナが安心したように微笑んだ。
「……お前、たまに怖いよな」
ミナトがぼそりと呟き、それからカヤをじろりと見やってきた。
「つか呑気に絡まれてんじゃねえよ。たまたま俺等が通りかかったから良かったものの」
「お、仰る通りです……ありがとう。2人が来てくれなかったらあのまま連れて行かれる所だった」
カヤの心臓は、まだ少しドキドキしていた。
普段は翠やタケルと行動を共にする事が多いが、一人になれば自分はあんなにも弱っちいのだと、ようやく自覚したのだ。
「……あのですね、カヤちゃん」
何やらナツナが言い難そうに口を開いた。
「最近、カヤちゃんに対する皆の話題が少し変わってきたのですよ」
「話題?と言うと?」
「以前までは、その……カヤちゃんの事を羨ましく思う人とか、珍しがる人が多かったと思うのですが」
「うん、そうだね」
それはカヤも肌で感じていた事だ。
いきなり翠の隣に立ち始めたカヤへの嫉妬だとか、不気味がったりだとか、そういった声は嫌でも聞こえてきていた。
「ただ、隣国での出来事がきっかけになったのと、そろそろ皆さんもカヤちゃんの髪に慣れたきたようで、そう言う声も少なくなり……その代わりにですね……」
「その代わりに?」
「えっと……そのー……」
なぜか言葉を濁したナツナに代わり、ミナトが続きを受け持った。
「誰がお前を落とせるか、賭けを始める奴らが湧いてきた」
馬鹿じゃないのか、と思うと同時に、やけに合点が行った。
「成程!だから最近やたらと話しかけられるのか……」
脈絡なく話しかけられる理由がよくやく分かった。
あの男達は、カヤを賭け事の対象にしていたのだ。
そりゃあ色々と素っ飛ばして、いきなり距離を詰めてくるわけだ。
過程はどうであれ、結果が重要なのだから。
一人で納得しているカヤに、ミナトが厳しい口調で言う。
「だから気を張っとけって事だ」
「あ、うん。でもまあ……心配しなくても本気でこんな不気味な女をどうこうする奴なんて居ないよ。怖がるなら分かるけど」
「は?」
「次に絡まれたら、私に触ると金の髪になっちゃうよーとか言っとけば大丈夫でしょ」
いくら他の人達が見慣れたと言っても、この髪が気味悪い存在な事には変わりはない。
こんな得体の知れないカヤに本当に手を出してくる男が居るとは到底思えなかった。
あっけらかんと笑い飛ばしたカヤに、しかしミナトは呆れた様子を見せた。
「お前、それ本気で言ってんのか?」
「へ?」
「油断すんな馬鹿。お前、一応あれなんだから……」
「あれって、どれ」
眉を顰めると、ミナトがカヤから視線を逸らせた。
僅かに怒っているように見える。
「あれだ、あれ。お前の顔が、ちょっと、その……」
「それって、どれ」
似たような会話を繰り返した時、ナツナが助け船を出した。
「カヤちゃんがお綺麗だから気を付けろって事ですよー」
「ナツナ!」とミナトが叫んだ。
耳まで真っ赤になっている。珍しい。
「いやいや、私の顔のどこが……」
カヤは苦笑いしつつ一蹴した。
恐らくナツナは、先ほどカヤが己を卑下した物言いをしたため、慰めてくれているのだろう。
相変わらず心優しい少女だ。
慌てて頷くと「良かったです」とナツナが安心したように微笑んだ。
「……お前、たまに怖いよな」
ミナトがぼそりと呟き、それからカヤをじろりと見やってきた。
「つか呑気に絡まれてんじゃねえよ。たまたま俺等が通りかかったから良かったものの」
「お、仰る通りです……ありがとう。2人が来てくれなかったらあのまま連れて行かれる所だった」
カヤの心臓は、まだ少しドキドキしていた。
普段は翠やタケルと行動を共にする事が多いが、一人になれば自分はあんなにも弱っちいのだと、ようやく自覚したのだ。
「……あのですね、カヤちゃん」
何やらナツナが言い難そうに口を開いた。
「最近、カヤちゃんに対する皆の話題が少し変わってきたのですよ」
「話題?と言うと?」
「以前までは、その……カヤちゃんの事を羨ましく思う人とか、珍しがる人が多かったと思うのですが」
「うん、そうだね」
それはカヤも肌で感じていた事だ。
いきなり翠の隣に立ち始めたカヤへの嫉妬だとか、不気味がったりだとか、そういった声は嫌でも聞こえてきていた。
「ただ、隣国での出来事がきっかけになったのと、そろそろ皆さんもカヤちゃんの髪に慣れたきたようで、そう言う声も少なくなり……その代わりにですね……」
「その代わりに?」
「えっと……そのー……」
なぜか言葉を濁したナツナに代わり、ミナトが続きを受け持った。
「誰がお前を落とせるか、賭けを始める奴らが湧いてきた」
馬鹿じゃないのか、と思うと同時に、やけに合点が行った。
「成程!だから最近やたらと話しかけられるのか……」
脈絡なく話しかけられる理由がよくやく分かった。
あの男達は、カヤを賭け事の対象にしていたのだ。
そりゃあ色々と素っ飛ばして、いきなり距離を詰めてくるわけだ。
過程はどうであれ、結果が重要なのだから。
一人で納得しているカヤに、ミナトが厳しい口調で言う。
「だから気を張っとけって事だ」
「あ、うん。でもまあ……心配しなくても本気でこんな不気味な女をどうこうする奴なんて居ないよ。怖がるなら分かるけど」
「は?」
「次に絡まれたら、私に触ると金の髪になっちゃうよーとか言っとけば大丈夫でしょ」
いくら他の人達が見慣れたと言っても、この髪が気味悪い存在な事には変わりはない。
こんな得体の知れないカヤに本当に手を出してくる男が居るとは到底思えなかった。
あっけらかんと笑い飛ばしたカヤに、しかしミナトは呆れた様子を見せた。
「お前、それ本気で言ってんのか?」
「へ?」
「油断すんな馬鹿。お前、一応あれなんだから……」
「あれって、どれ」
眉を顰めると、ミナトがカヤから視線を逸らせた。
僅かに怒っているように見える。
「あれだ、あれ。お前の顔が、ちょっと、その……」
「それって、どれ」
似たような会話を繰り返した時、ナツナが助け船を出した。
「カヤちゃんがお綺麗だから気を付けろって事ですよー」
「ナツナ!」とミナトが叫んだ。
耳まで真っ赤になっている。珍しい。
「いやいや、私の顔のどこが……」
カヤは苦笑いしつつ一蹴した。
恐らくナツナは、先ほどカヤが己を卑下した物言いをしたため、慰めてくれているのだろう。
相変わらず心優しい少女だ。
