ある民家の縁側で8月のカナディアンの風が野うさぎが駆け巡るエメラルドグリーンのガラス細工で作られた風鈴が「チリンチリン」と静な音を奏でいく。
ロッキングチェアでひとときの安らぎを楽しんでいる佐藤幸子は数日後に孫の拓也が家族を連れて数年ぶりに帰ってくるのを楽しみににしいて孫と会うのも久しぶりだ。
幸子と他界した旦那の佐藤陽との間には一人娘(南)がいて拓也はの子供だがその南は拓也が小学生一年の時に事故に遭いになってる。
娘の南が行方をくらませてからは幸子と陽は拓也を引き取り大学を卒業させ社会人になるまでめんどうをみている。
ふっと気づくと幸子は昔、旦那とよくデートをした映画館の前にたたずんでいた。
「幸子さん」
後ろから声をかけてきたのはなくなった旦那の陽だ。
「陽さん」
後ろを振り向き、目の前に立っていた旦那の姿を見ると幸子の目には涙が溢れてくる。
幸子は今、自分に起こっていることが真実で現実的でしか感じていない、「タイムスリップ」、幸子は陽がなくなる一年前に話していたことを思い出す。
その時は、陽の話を大沢夢町の昔からあるおとぎ話だとしか思っておらず、陽の姿を見ると心がつまり、あのとき自分が陽の話を信じていなかった事に後悔が自分の心に児玉していく。


「幸子さん、懐かしいね、昔の事を思い出すよ」
「ええ、そうですね、陽さん」
大沢夢町にある映画館「夢の島館」の 前にたたずんでいる二人の目の前には二人の思い出の映画、オードリーヘップバーンの主演マイフェアレディーの広告看板が二人の目に入ってる。
「陽さん、ごめんなさい、私、陽言っていたことおとぎ話だと思っていなかったわ」
「いいよ、幸子さん」
とっさに陽は幸子の言葉の意味を読み取る、自分が元の時間に戻ったとき幸子が自分の話したことをどう捕らえたか、そして自分の身に起こる事を。
二人が昔の思い出を懐かしんでいると、然、聞き覚えのある女性が声をかけてくる。
「幸子さん、陽さん」
振り替えると二人の前には孫の拓也と拓也のお嫁さんの愛、愛にしゃがみつく小さな女の子とまだ五、六歳になる男の子二人が立っていた。
「じいちゃん、ばあちゃん」
「陽さん、幸子さんお久しぶりです」
「おおきい、おじいさん、おばあさんこんにちは」
「おや、こんにちは」
優しく微笑みながら幸子は挨拶をしてきた一番大きな男の子に挨拶を返す。
「拓也、愛さん君たちもタイムスリップしてきたんだね」
「じいちゃん、俺、幸せを、運ぶ風、カナディアンの風ず~と迷信だと思っていたけど今俺、驚いているよ」