私はゲームを一時停止画面にして、ドアを開ける。


「……よっ」


「えっ、許斐君?どうしたの?」


廊下にいたのはブルーのTシャツに黒のスウェットを穿いた許斐君で、右手を私に差し出して来た。


「溝渕、コレお前のじゃねぇ?さっきトイレ行ったら洗面所にあったんだけど」


「あっ!私のヘアゴム!」


許斐君が差し出したのは四葉のクローバーの飾りが付いた黄緑色のヘアゴムで、それは確かに私のお気に入り。


確かコレで髪縛って晩ご飯作ってからお風呂に入って、ドライヤー使って……あっ!あの時うっかり洗面所に忘れて来ちゃったのか!!