アイツのことで頭をいっぱいにしながら授業が終わり、気づかれないようにアイツを見るといつも通りで俺に見向きもしないで教室を出て行った。でも泣いてたんだ。いつも通りな訳がない。

アイツのことが気になったが隣のクラスの知らない女に呼び出されていたため俺は少し苛つきながら呼び出された空き教室へ向かった。


「ご、ごめんね。呼び出して」


「別にいいよ。それでなに?」


「あの、す、好きですっ…」


そう言って差し出したのは手紙。緊張で手どころか手紙まで震えている。きっといい子なんだろうな。でも答えは決まってる。ごめん、と言いかけたとき、疑問に思った。なんで断るんだろう。別に付き合ってる奴はいないし、好きな奴だって……。


「あ、あの…」


女の声で我に返った俺は背筋をピンとさせた。


「あぁ。ごめんなさい。気持ちは嬉しいんだけど……けど…」


なんでアイツの顔が出てくんだ。違う!そんなんじゃ…。


「好きな人がいるとかですか?」


「好き…」


アイツのことが好き、なのか?なんで今さら…。


「と、とにかく!手紙は貰っとく。ほんとにありがとう」


「…ふふっ」


「は?」