「……えー」

 山を登るには、トレーニングみたいなことをやらないといけないのだろうか。

「休むのも大事だけどね。でも基礎体力はつけたほうがいいよ」

 反論はもちろんない。だが、求められている体力量によっては自信がなかった。ただただ走らされる長距離走みたいなのは嫌いなのだ。

「数日に分けて持てる限りの荷物を持って行って、先に置いておくこともできるからさ。体力作りも兼ねて、しばらくは荷運びなんてのはどう?」
「荷運び?」
「そ。移動手段は徒歩か自転車しかないし、山の近くに店もないからね。でも天蔵でなんでも買えるわけだから、盗んでいく人なんていないだろう? だから先に置いておくのさ」

 荷運びしているうちに、体力もつくというのなら。

「まあ、それなら、頑張る」
「よし。そうと決まれば注文しようか」