北寺は、沈黙して顔を伏せたままの律歌の頭頂部を見ていた。

 その頭をいいこいいこと撫ぜてやりたい気持ちをなんとかして殺し、今この時、律歌にかけるべき言葉を引っ張り出す。

「何も見つからなかったわけじゃない。――北方面について、ちょっと知っただろう?」

 慰めるためじゃなく、純粋な否定として。

「最北までは、こうなってるって」
「最北……」

 今、律歌と北寺の知りうる限り――まさしくこの小さな世界の最北端だ。

「……そうね。北の果てまで行ってきたのよね。私達」

 律歌が知りたいと思うことを、いつでも詳しく知っている北寺からのその言葉。彼もそうして一つ一つ、知ってきたのだろうか――?

「うん。次はどうする?」

 北寺の問いかけに、もう顔を上げる。