リビングの大窓からの日差しが明るく、室内は穏やかに陰っていた。ダイニングテーブル越しに膝を突き合わせて、律歌と北寺は昨日走った道を指でなぞって確かめ合う。

「外に出るとどこを向いたって遠くに山が見えているし、山に囲まれた地形なのかなって思ってはいたけど、やっぱりそうだったわね」
「そうだね。北の山のふもとまではここから自転車で走って半日かかる距離だった」

 主婦たち三人組の家を越え、ルートを少し逸れて噂の油田、そこからそう離れぬ位置に年配の男性の民家二軒、しばらく行ったところに菜の花畑があって、もっともっといくと山にぶつかった。

「東とか南までも行ってみる?」
「景色を見る限りじゃ、山があるだけのような気がするわね」
「それはおれも思うけど」