打ちひしがれ、ここで何をするでもなくぼんやりと過ごしていた頃を思い出す。

 ○

「りっか、遊びに来たよ」
「あ……。こんにちは」
「こんにちは。ごはん、食べた?」

 首を縦に振る。

「いいね。おいしかった?」
「まあ、……そうね」
「そっか、よかったね」
「うん……」

 つまらない会話をして、ため息が胸の中に充満するのを感じて、ため息をつく。

 そんな日々をただむやみに送っていた。

 人というのはこんな会話をするために生きているのだろうか。

 呼吸をする。米を食べる。月は東に、日は西に。生まれいで、やがて死にゆく。

 ――くだらなくて、馬鹿らしい。反吐が出る。勝手にやってろ。

 絶えず痛み続けていたずたずたの心は、少しだけ治って、触れなければ痛くはない。けれども、相変わらず身動きはとれない。

 そんな頃の自分に、北寺は根気よく話しかけてくれたのだ。