「パパも成也の事は息子みたいだって、言ってたよ」

「そっか。久しぶりに会いたいな~」

「今はパリに行ってるの」

「相変わらず忙しいんだな」


おじさんは外資系の会社に勤めてて、よく海外出張で家を空ける事が多かった。

どうやら今もそれは変わっていないらしく、相変わらず世界中を飛び回っているみたいだ。


「ねぇ、成也」


懐かしい思い出に浸っていると、徐に紗羅が俺の名前を呼んだ。

アルバムから視線を隣に向けると、月明りに照らされた紗羅が柔らかく微笑んで俺を見つめていた。


「私と再会した時に、成也、私を見て何て言ったか覚えてる?」

「え?」

「成也、私を見て『人魚姫』って言ったんだよ」

「あ~...そうだったな」


あの日は、変な噂話を聞かされて思わず叫んでしまった。

カナリの失態だと今でも恥ずかしく思う。

人魚姫だなんて、メルヘンにもほどがあるだろ。