数日のある日。僕は同じように千晴と登校し、いつものように教室に入った。

「あ、深冬。おはよう」

いつも通りの笑顔で美影が話しかけて来た。その笑顔は、作り笑いのように見える。僕は、あえてそこに触れずに「おはよう」と微笑んだ。

美影は、僕に「…今日、18時頃に僕の家に来れる?」と小さな声で言う。僕は「……大丈夫。行けるよ」と小さな声で返した。

美影は毎年この日になると、夜に英太との思い出の場所まで行き、花束を飾っているらしい。美影の義両親と話し合って決めたことなのだ。

「分かった…忘れないでよ?」

「分かってるよ。僕は、人との約束は今まで破ったことないし!」

「それは、僕もだけど…」