美影が放ったのは、攻撃魔法。元々、昔に魔法戦争があった時代に作られた魔法で、今では、護身用として使われている(魔力消費量が莫大で、威力も相手をひるます程度なためにあまり使われない)

「――さすれば、我が道の光とならん。この地に影落つる神を拝みて、この天を照らす神を祀りし者よ。この天地に制される我の祈りに応えよ!」

美影がそう唱えた瞬間、魔法円は巨大になる。しかし――魔法円は、その場で弾け飛んだ。

「……魔法が解かれた…?」

美影は、悪霊を見つめて呆然としている。さっきから悪霊の姿を見ていたのだが、僕の首に刀を当てた状態から動いていない。美影が放った攻撃魔法に当たっても平然としていた。

「深冬と悪霊の距離をある程度置くために、攻撃魔法を放ったのに…僕の力は、一日に1回が限界だし…」

美影がそう呟いた瞬間、悪霊に光の鎖が当たり、悪霊は怯む。光の鎖をムチのように悪霊に叩きつけたのは――美依。

「……美影くん。私の力である光の鎖は、こういう使い方も出来るんだよ!……深冬くん。千晴くん。私の力だけじゃ倒せないから手伝って!お姉ちゃんも援護を頼む!」

「分かった」

由美は、美依の発言にうなずく。美依は、悪霊と向き合って悪霊を見据えた。僕たちも悪霊と向き合う。

僕の頬に嫌な汗が伝うのが自分でも分かった。