劇の本番である学園祭まで
あと1週間に迫った。

私たちの練習もいよいよ
大詰めのところまで来ている。

あれから私は奏にいろいろと
手伝ってもらいながら家でも
練習を繰り返し、全てのセリフを
堂々と言えるようになった。

あんなに恥ずかしいと思っていた
ロミオへの愛の言葉も
ジュリエットになりきってみれば
すらすらと口に出すことが出来る。

奏はなんでもソツなくこなして
しまうタイプだからこの劇も
しっかりと王子になりきっていた。

優しい優しいロミオと、自分に
自信のなくて弱いジュリエット。

それが今の私たちが演じる
ことの出来る限界。

本当のジュリエットはもっと
勇敢な性格をしているんだけど、
自己肯定感が低い私にとって
そんな役を演じるのはなかなか
至難の技だった。